歌壇 安曇於保奈 選 25年1月

歌壇 安曇於保奈 選

【秀逸】

女童はわが少女期の戦渦の話せがみて問ひぬ朝床の中             倉石みつる

 お孫さんか曾孫さん、作者の布団にもぐりこんできて、戦争中のことをあれこれ質問している。語り継ぐ口承歴史(ナラティブ)の貴重な場面を詠まれた。

【佳作】

「栗ご飯炊いて」と幼が拾いきて厨に転がす小さき団栗          悠

 お孫さんか、団栗を拾ってきて、栗ご飯炊いてと作者にせがんだ。団栗と栗。間違えるのも無理はない。作者はこの後、栗を買ってきて栗ご飯を炊いてくれたにちがいない。

【入選】

夕映えに凛と聳ゆる鹿島槍首病む吾に明日はあるとぞ             山野耕治

挫折してだから得たもの数多あり不足はないが疼くものある   つきはら

店先でサンマと目があい夕食に塩焼きにしていただきました   荒井よし子

診察券マイナは家で確認も窓口で気付く財布は家に   那賀吉弥

つぎつぎと去りゆく友に秋の風雲間に笑顔の若かりし君          甘利眞澄

3年間孫の部活は球拾い でも退めなかった 君は誇りだ      土朗

 今回は、高野公彦(1941~)の最新歌集『水の自画像』から何首か鑑賞したい。

岐路いくつありてその都度えらびたるわが道、今は一つ細道もみぢの葉日に洗はれて紅深し 歌人短命、うた詠み長
憲法は旧仮名づかひ「…国民は与へられる」とありて親しき

【応募要領】

■官製はがきに三首まで(二重投稿は不可)

■住所・氏名・電話番号を付記

■締め切り毎月十日

■宛先〒387‐0012 千曲市桜堂521 屋代西沢書店2階

ちくま未来新聞 歌壇係

【お知らせ】短歌の学習会を企画しています。参加してみたい方は、はがきで歌壇係に申し込むか、柳沢純(090―3083―0381)までご連絡ください。詳細は後日ご連絡します。初心者も歓迎です。