歌壇 安曇於保奈 選
【秀逸】
女童はわが少女期の戦渦の話せがみて問ひぬ朝床の中 倉石みつる
お孫さんか曾孫さん、作者の布団にもぐりこんできて、戦争中のことをあれこれ質問している。語り継ぐ口承歴史(ナラティブ)の貴重な場面を詠まれた。
【佳作】
「栗ご飯炊いて」と幼が拾いきて厨に転がす小さき団栗 悠
お孫さんか、団栗を拾ってきて、栗ご飯炊いてと作者にせがんだ。団栗と栗。間違えるのも無理はない。作者はこの後、栗を買ってきて栗ご飯を炊いてくれたにちがいない。
【入選】
夕映えに凛と聳ゆる鹿島槍首病む吾に明日はあるとぞ 山野耕治
挫折してだから得たもの数多あり不足はないが疼くものある つきはら
店先でサンマと目があい夕食に塩焼きにしていただきました 荒井よし子
診察券マイナは家で確認も窓口で気付く財布は家に 那賀吉弥
つぎつぎと去りゆく友に秋の風雲間に笑顔の若かりし君 甘利眞澄
3年間孫の部活は球拾い でも退めなかった 君は誇りだ 土朗
今回は、高野公彦(1941~)の最新歌集『水の自画像』から何首か鑑賞したい。
岐路いくつありてその都度えらびたるわが道、今は一つ細道もみぢの葉日に洗はれて紅深し 歌人短命、うた詠み長
憲法は旧仮名づかひ「…国民は与へられる」とありて親しき
【応募要領】
■官製はがきに三首まで(二重投稿は不可)
■住所・氏名・電話番号を付記
■締め切り毎月十日
■宛先〒387‐0012 千曲市桜堂521 屋代西沢書店2階
ちくま未来新聞 歌壇係
【お知らせ】短歌の学習会を企画しています。参加してみたい方は、はがきで歌壇係に申し込むか、柳沢純(090―3083―0381)までご連絡ください。詳細は後日ご連絡します。初心者も歓迎です。