特集① 戸倉駅前周辺 活性化のアイデア  2024年10月

特集① 戸倉駅前周辺 活性化のアイデア  

◆鉄道ファン再び!・天狗伝説の復活も

 街の賑わいを取り戻すのは、なかなか難しいものだ。しなの鉄道と戸倉駅前通りの「賑わい復活」について、自由なアイデアを地元の方に披露してもらった。

 しな鉄の戸倉駅前。長野新幹線が1997年に開業する前は、特急「あさま」が停車して戸倉駅が戸倉上山田温泉の玄関口だった。今は温泉に来られたお客さんも送迎車で戸倉駅に来るが、やはり車で来られるお客さんが多いようだ。乗降客は減少し、戸倉駅のかつての面影はどこにいってしまったのだろう?

 かつての「賑わい」のために、どんなアイデアがあるだろうか。

 地元で牛乳販売店「ミルクマーケット」を経営する株式会社春夏冬の小林直彦代表取締役(50)は、いろいろなアイデアを持っている。小林さんは、“ナッキー”の愛称を持ち、「nackey TV」と検索するとYouTubeチャンネルが出てくる。こちらも注目だ。

 ナッキーさんのアイデアをまとめると下記のようになる。

1・鉄道ファンを呼ぶ

 まず、鉄道ファンが来ていることに注目したい。電車の写真を撮りまくる「撮り鉄」、その音を録る「録り鉄」、とにかく電車に乗る「乗り鉄」、こうした鉄道ファンの集まる場所にする。

 なぜそうしたいか。ナッキーさんは、かつてこの戸倉駅で大型クレーンゲームの古い筐体を友人から借り受けて、待合室に置いた。ゲットしたカプセルの中に景品を書いた紙が入っており、それは鉄道ファンにとっては魅力的なもの、例えば機関車のプレートや部品、客車の椅子もあったという。

 だが、いま待合室にクレーンゲームはない。

 経緯は詳細に分からないが、駅待合室の管理が、しな鉄から千曲市に移ったことが遠因らしい。ファンのために、クレーンゲームを復活し、カプセルトイも置いてほしいものだ。

2・待合室の工夫

 その待合室には、立ち食いの信州そば、もつ煮そば・うどん、やきとりで知られる「かかし」がある。今年12月22日には駅で開業して丸19年を迎える。ナスの焼き浸しや、おでんなどの惣菜も並べる。営業は朝7時30分から昼13時40分。定休日はなし。店主は丸山美智子さん(50)。前は上田市で母親と焼き鳥店を営業していた。天然だしを使う蕎麦は絶品だ。

 「かかし」の隣には喫茶「しなの」があり、待合室は昔の面影がなくはないが、かつてあった売店(キオスク)は閉じたままだ。戸倉上山田商工会や千曲商工会議所、さらに千曲市、しな鉄などと相談して、待合室の整備とともに売店の復活を検討してほしいものだ。日替わりで、信州や地元の特産品を販売する方法もあるだろう。地元の方や観光客が何度も寄ってみるような待合室を造ってほしい。

3.「天狗伝説」を活かそう!

 インターネットで検索すると、戸倉には「戸倉天狗山伝説」がある。ネットを引用すると、てんぐ・テング・天狗は、人には到底及ばない神通力を持ち、悪さもするが人々に苦難があれば、これを 助けてくれる、と云われている。各地に天狗にまつわる伝説が沢山あるが、ここ戸倉天狗山の話はこうだ。隣村、今の坂城町に住んでいた山伏の兄弟が、千曲川の大水でちりぢりになり、その長男が戸倉自在山に移り住み、毎日厳しい修行を積みながら村人の幸福を願っていた。後に、村人がこの山伏への感謝の気持ちから、天狗として奉ったという。当時、村人にはなかった薬草・天候予想等の知識で村人を助け、また祈祷により村人を助けていた逸話ではないかと思われる。

 この天狗が棲んでいた証として、公園右手奥の自在山には、「天狗の松」、「天狗の祠」などがある(参考・千曲市教育委員会「案内板」)。

 このほか、目を引くのが「天狗の松」。千曲市天然記念物で、樹齢400年、樹高30mの赤松の大木だ。

 天狗山のいわれと自在山神社については、大昔、東山一帯は赤松の大木が生い茂り、昼なお暗く、湧き水もあって、天狗が棲んでいたと云われ、恐れられていたという。天狗の棲処(すみか)としては、絶好の場所で、「天狗山」と呼んだ。村人はここに、自在山の石祠を造り、天狗を崇め奉ったという言い伝えが残っている。この引用記事は、「東山桜守りの会」が協力している。キティパークの巨大天狗像(千曲天狗)は3年前にお色直しも施され、地元の子どもたちにも人気を集めている。

 この天狗伝説をヒントにして、戸倉駅前にも、天狗につながる天狗像を置いて、お祀りできないものだろうか。

4.駅前カフェを!

 かつて戸倉駅前には何軒かの喫茶店があったという。今は、夕方から営業するスナックがある。戸倉駅を降りて、向かって左手には地元の寿高原食品の工場があり、通りには同社で製造する食品の宣伝が見られる。

 かつて向かって右手には菓子店の「大正堂」が営業し、喫茶店「ルミエール」、今でいうカフェがあった。このお店が、復活する動きがあるという。すでに、下見に来られている方もいるそうだ。ぜひ、カフェの復活は期待したいところだ。

 戸倉駅入口交差点は、向かって左手に有名な蕎麦屋「萱(かや)」が営業しており、歩道もあり、千曲川に向かってはかなり整備されている。

 ナッキーさんによると、以前には彼自身など地元の経営者をはじめ、しな鉄の戸倉駅長ら有志による「戸倉駅活性化懇談会」(仮称)が、議論を重ねたという。こちらも、復活を期待したい。

 しなの鉄道・屋代駅長の宮本直人さんに聞くと、戸倉駅については「この4月に千曲市がトイレをリニューアルして、跨線橋も美装化された。だいぶ使いやすくきれいになりました。戸倉駅舎の改築計画は今はありませんが、イベントの企画はいろいろとあります」としたうえで、「信州千曲観光局と連携したガラクタ市などで戸倉駅でも連携を検討しています」と意欲的だった。万葉超音波温泉で先日行われた電車のイベントに観光局も連携しており、さらに戸倉駅も一緒に何かできないか検討している。いずれも鉄道ファンには注目されそうだ。

 屋代駅長は、千曲市内の屋代、屋代高校前、戸倉、千曲の四つの駅を統括している。宮本駅長も戸倉出身で、「賑わいの復活」に関心があり、少しずつでも取り組んでいきたいとしている。

(本紙特任記者・中澤幸彦)


補足情報:編集部より

戸倉駅前の活性化に向けた取り組みとして、地元有志による「戸倉駅活性化懇談会」が以前開催されていました。この懇談会では、駅前の賑わいを取り戻すためのアイデアや施策が議論されていました。また、しなの鉄道と信州千曲観光局が連携し、ガラクタ市などのイベントを企画する動きもあります。これらの取り組みは、地域の魅力を再発見し、観光客や地元住民の交流を促進することを目的としています。

関連外部リンク:

特定の場所:

  • 戸倉宿キティパーク
    • 住所:長野県千曲市大字戸倉2388-1

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