特集② 清泉大側からの屋代南高への提案 

特集② 清泉大側からの屋代南高への提案

 清泉女学院大学の木村喜昭・事務局次長兼経営企画室長は10月22日、県立屋代南高校の竹内宏枝校長と面会して、同大の2027年度の農学部アグリビジネス学科(仮称)の開設に向けて現在検討している内容を提案した。屋代南高校のライフデザイン科は、専門学科として学びを通じ、生活産業を支える人材の育成を目指している。ファッションデザインとフードデザインの2つのコースがある家庭科の専門学科だ。

 清泉側は、この2つのコースの生徒や授業と連携していきたい意向を示した。例えば、農学部による「出前授業」をはじめ、南高の生徒に授業を聴講してもらうなど実習面での「オープンキャンパス」のほか、農学部の作業服のデザインなどもファッションコースで検討してもらうといった提案があった。進学先として農学部も選択してもらえれば、清泉側にとってはより深い連携ができよう。南高側は熱心に聴き入っていた。

 木村室長の説明や提示された資料によると、清泉女学院大学が千曲市に新キャンパスを設ける理由としては以下の点があげられた。

1・地元自治体の千曲市、地域の理解があり、高等教育機関の誘致に熱意がある

2・しなの鉄道屋代駅、国道18号線、上信越道と長野道の結節点である更埴ジャンクションの近くで交通のアクセスがよい

3・立地、自然環境(農場確保など)がよい

4・台風や地震などの災害が発生しても、甚大な被害には至らない可能性がある

5・更地である

 こうした利点をあげている。

★申請に対する評価

 これまでの説明から引用すると、清泉女学院大学が「2027年度農学部開設」を申請した令和6年度(2024)の大学・高専機能強化支援事業の対象として選定された。その選定委員会が特に評価した点として、

①農業や発酵食品の関連企業、農業従事者、農業移住者などで構成される「新学部(農学部)設置協議会」を立ち上げたうえで、分科会や勉強会を実施し、目標期限を定めて事前協議をまとめて、要請する人材像をブラッシュアップして、新学部に反映させること。

②自治体の全面協力のもと、初等・中等教育段階の学校への出前授業を実施することにより、学生募集につなげるだけでなく地域貢献として、長野県の特徴や課題など、地域の理解を深めることも図る点。

さらに

③日本が抱える農業に関する懸念(後継者がいない、耕作放棄地が増える、自給不足)についての理解を深めたうえで、問題解決型学習を取り入れた学習を進める体制をつくる点や、国内トップレベルの農産品の専門家を育成する点を評価した。

★今後の日程

 「地球規模で考え、足元から行動せよ」「Farm to Fork 農場から食卓まで」を掲げていく。

 今後の日程は、2025年秋には文科省認可申請にむけた書類作成(設置の趣旨、教員、カリキュラム、学生確保の見通しなど)。2026年3月前にも校舎着工、文科省への認可申請提出、同年夏ころに認可見込み。学生募集の開始。2027年2月、校舎竣工、什器備品搬入。同年4月農学部開設。となっている。

 こうした経緯を説明したうえで、連携できる大手企業や地元の発酵、醸造を中心とした食品企業とのマッチングをはじめとする具体的な事業についての検討が年内は続けられる予定だ。

(本紙特任記者 中澤幸彦)

関連外部リンク:

清泉女学院大学新キャンパス建設予定地

  • 住所:長野県千曲市大字屋代2451-1(旧更埴庁舎跡地)
  • 長野県屋代南高等学校
    • 住所:長野県千曲市大字屋代2104

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