特集②「杏の里」は後世への宝もの 杏農家の思いの実現を
杏農家の思いの実現を
千曲市の「あんずの里」は今年も3月下旬から3月上旬にかけてあんずまつりが開催される。例年、このイベントを楽しみにしている方も多いと思う。信州でもあんずの里をはじめ、高遠の桜、長野市の城山公園の桜、上田城の桜など「花の名所」は数多い。
森地区の杏農家は高齢化により減少してきている。耕作放棄地は年々増えている。耕作放棄地の雑木林伐採や畑の手入れなど栽培環境のためには欠かせない作業となっている。
森地区で、杏の北條農園を経営して15年近くになる北條昭宣さんから杏の栽培について課題などを説明していただいた。
それによると、
①杏の花が綺麗に咲く時季の花粉付け(人工受粉)3月20日頃から4月10日頃まで
②良いものを残し、余分なものを取り除く摘果作業は5月初めから5月中旬
③見直し摘果作業
④収穫作業 6月20日頃から7月上旬
こうした年間の栽培日程が決まっているため、この冬の時季から下準備をしており、なかなか休めないという。一月半ばも朝から午前中に剪定など枝の手入れ作業で結構忙しい。
北條さんは長野市出身。学校卒業後、製造メーカーに就職し、品質管理など中国上海の協力工場の立ち上げなどにも取り組んできた。定年退職後、奥さんの実家がある倉科に住み、森地区の杏の農園で栽培に力を入れるようになった。
新しい栽培法として「収穫に三脚を使っていたが取るのに夢中になり、よく三脚から落ちた」と明かすが、落下しないように、杏の樹木を低木とする「低位栽培法」を取り入れて、樹高2m以下に育てるスマート農法である「樹体ジョイント栽培法」が解決法となった。会社での品質管理の経験が生きたと思っているが、「職人気質」が発揮されたわけだ。
しかし、杏農家も高齢化によって年々減少している。このままでは耕作放棄地が増えるばかりで、杏農家の減少に歯止めはかかりそうにない。
北條さんはこうした状況からの対策を自身で考案して、他の栽培地域で行っている「杏の木のオーナー制度」や6月下旬からの収穫期に「杏狩り」の観光ツアーを展開できないか提案している。まさに後世に宝物を伝えるための対策といえる。
◆「あんずまつり」の活性化のために知恵を出して
かつての「一目十万本」といわれた頃のあんずまつりを思い浮かべると華やかだった。記者も屋代小学校一年生の時に春の遠足で森地区の薬師山に歩いて登った記憶がある。ピンクの杏の花が山一面に咲いていた。
屋代中学校の時は、森の友達の家で杏の花を見ながら、おはぎやおでん、おやきをたくさんいただいた。懐かしい思い出だ。
「あんずの里」は今後も大事に残していくべき千曲市の宝に違いない…あんずまつりの時期、花見の車で森地区は渋滞する。駐車場の確保も地域の皆さんの協力が大いに必要だ。
こうした中で、かつてのミスあんずコンテストや、杏の花への環境配慮からか派手なイベントが控えられているのは時代の流れかもしれない。
しかし「貴重なあんずの里」を全国に発信していくアイデアはあるのではないだろうか。外国人観光客の多くがインターネットで検索して、この春のあんずの里を訪問するかもしれない。
千曲市の観光課と森、倉科地区の地域の皆さん、さらに信州千曲観光局が連携して、花粉付けから杏の収穫期まで視野に入れて、今から花見の時期だけではない観光集客のための知恵を出し合ったらどうだろうか。北條さんをはじめ杏農家の協力や意見を取り入れるのは当然だろう。
(本紙特任記者 中澤幸彦)

