特集②「犯罪被害者」の家族に地域は寄り添えるか?  坂城の殺人事件から今年で6年 犯罪被害者等支援を学ぶ

特集②「犯罪被害者」の家族に地域は寄り添えるか?  坂城の殺人事件から今年で6年 犯罪被害者等支援を学ぶ

「ともに会」の活動

 6年近く前、坂城町で起きた殺人事件。長女と次男の二人が拳銃で殺害されて、現場から助けを求めた妻も重い後遺症を患い今も家族は苦悩している。被疑者の男は自らの思い違いによって二人を殺し、その凶器となった拳銃で自殺した。裁判も被疑者死亡で開かれなかった。残された夫婦と長男の家族は「犯罪被害者」として突然にどうしようもない「不幸」に直面することになった。

 犯罪被害者の現実について知るとともに、その支援を実現できることを目指す集まり「ともに会」が千曲市に発足した。代表は元教諭の山崎一男さん。この被害者家族と縁のある方だ。「ともに会」は3年前から、毎月第三土曜日に千曲市の人権ふれあいセンターで、坂城事件の遺族の市川武範さんを囲み、犯罪被害者の現実とともに今後の活動の展開について意見交換をしている。記者も知人から誘われてこの1月から参加しているが、被害に遭ってしまった市川さんはじめご家族の無念さは計り知れない。市川さんの仕事の復帰、奥様の苦悩、解決されていない問題は数多ある。

 山崎さんは坂城事件を「知り合いの事件」として知ったが「なんと声をかけたらいいだろう」と当初関わりへのためらいも感じた。そんななかで「ながの犯罪被害者支援センター」と話し、事件から半年後に市川さんと直接電話で話して、事件後の窮状を知り、できる支援を考えて活動してきたという。令和5(2023)年4月に千曲市犯罪被害者支援条例が施行。一年後の令和6(2024)年4月、有志と犯罪被害者等支援を学ぶ「ともに会」を立ち上げ、県内各市町村の現状や他県の条例と比較・検討したり、犯罪被害者支援センターの研修や条例研究会の研修プログラムをもとに学習し、その成果をまとめて千曲市の「人権ふれあいフェステバル」で展示し発表した。

 令和7(2025)年度は、千曲警察署の担当者との懇談、千曲市長への要望書の提出、各研修会への「オンライン」ZOOM参加。メディアへの広報活動とともに、この年の10月には人権ふれあいフェスティバルで活動内容を展示発表した。本年度も現在まで活動をさらに展開している。「ともに会」たより=写真=を千曲市議会議員や坂城町議会議員に配布。関心のある議員も意見交換会に参加している。

◆「犯罪被害者」を支えるために

 2月5日午後、千曲市役所で「犯罪被害者支援」の職員への研修が2回にわたり開かれた。清泉大学人間学部の岡本かおり教授が「犯罪の被害に遭った市民への望ましい対応、二次被害を防ぎ、回復を考える」をテーマに講演した。ここでは留意点として、対応する職員は「罪悪感を強めるようなことは言わない」「他の人、他の事件とは比較しない」「強くあること、がんばることを強要しない」「分かったふりをしない」などを挙げた。また、一人で抱えない、支援について職場で報告、連絡、相談して部署として動く。地域の関係機関と連携するなどを指摘し、ストレスケアの重要性をあげた。

 長野県内の犯罪は、県警のホームページによると、令和6年(1月から12月)の認知件数は凶悪犯とされる犯罪は61件。その内訳は殺人8件、強盗10件、放火6件、不同意性交等罪37件だった。このほか、略取誘拐・人身売買は3件、暴行、傷害、脅迫、恐喝などの粗暴犯は516件だった。決して少ない件数ではない。

 県警のホームページも「犯罪の被害にあわれた方へ~被害者の手引~」を25頁にわたって公開して、支援体制を示している。

(本紙特任記者・中澤幸彦)

犯罪被害者支援の千曲市職員向け研修

2月5日、市役所で写真=犯罪被害者を考え、支援する「ともに会」の会報

長野県警HP 犯罪被害相談

https://www.pref.nagano.lg.jp/police/soudan/higai/index.html