特集 4月より「清泉大学」に共学がスタート

4月より「清泉大学」に共学がスタート

 清泉女学院大学が2025年4月から「清泉大学」となり男女共学の高等教育機関となる。学部も人間学部(心理コミュニケーション学科)、看護学部(看護学科)、新設される人文社会科学部(情報コミュニケーション学科、文化芸術学科)と合わせて3学部となる。併せて、清泉大学短期大学部はこども学科、大学院には保健師養成課程を設ける。そして2027年4月には、清泉大の農学部アグリデザイン科(仮称)が開設される。コースは、地域創成、農芸化学の2つが設けられる予定。農学府の理念は、「地球規模で考え、足元から行動せよ」「Farm to  Fork  農場から食卓まで」を掲げていく。

★「農学部開設」までの日程

 25年秋、文部科学省正式認可申請に向けた書類作成。内容は設立の趣旨、教員、カリキュラム、学生確保の見通し、地元自治体、企業との連携についてが中心となる。

 26年3月ごろには、文科省への認可正式申請を提出して、併せて校舎の着工の準備を進める。26年夏ころに認可見込み。26年夏から学生の募集開始。推薦入試も検討。27年2月に農学部一般入試。27年2月ころまでに校舎竣工、什器備品搬入。27年4月農学部開設、入学式。

 これが日程だが、1月に表面化したこの4月に新設される清泉大「人文社会科学部」の一般入試を実施しなかったことが、受験生に対する「公平性」を欠いたとして文科省から説明を求められている。この時期に、清泉にとっては「懸念する案件」にもなりかねない。進む少子高齢化の中で、私学の経営は厳しい。学生募集、授業料、教員やスタッフの努力、資金など学校経営の課題は数多ある。しかし、学生や生徒が学びたいという「魅力にあふれた学校づくり」は大事だ。この「教育県」といわれてきた信州でこそ、力を発揮してほしい。

★「清泉大学農学部設置協議会」の初会合 24年12月20日開催

2回目は今夏ころに予定

 「清泉大農学部設置協議会」(仮称)が昨年12月20日に初めての会合を開催した。清泉女学院大経営企画室によると、この協議会は、「大学・高専機能強化支援事業」の要件であり、設置・開催が義務づけられているという。協議会設置に際しては、清泉女学院大学など同学関係者の組織「親泉会」の主要な方々に協議会準備委員会委員となってもらい、協議会メンバーの人選を進めてきたという。協議会は機能強化支援事業の助成金獲得に影響する組織であり、形式も整えていくことが必要となった。審議内容については基本的にメンバーに限っての非公開の組織となった。会議の内容は公表されないという。

★メンバーは初会合に約10社参加

 地域に必要とされる人材について議論し、産業を取り巻く現状と課題について、メンバーが正しく認識し共有して「農学部に必要とされる課題を踏まえて、その研究テーマについての知見(知識、見解、考え)を提示してもらう。課題解決型の授業の組み立てのアドバイスをしていただく。それが協議会の設置の目的。

 初会合に参加を予定していた県内の企業は、ホクト、長野銘醸(姨捨正宗)、サンクゼール、ヤッホーブルーイング、マルモ青木味噌醤油醸造場、すや亀本店、高村商店、木の花屋、藤屋御本陣など10社ほど。

 初会合でもあり、各社の顔合わせとあいさつで終わったようだが、2回目はこの夏頃の予定。

★別の「サポート組織」も検討を

 この協議会とは別に「千曲市と清泉との連携室」も早急に必要だが、併せて千曲市の事業者をメインとした「農学部サポート組織」の立ち上げも必要だろう。清泉大の拠点があり、清泉大の各学部がある長野市や公立長野大の情報系学部が開設される上田市などの先例を参考にするのもよいが、「千曲市独自の連携策」を打ち出してほしい。

 建設資材や建設に携わる人件費が高くなるなか、校舎建設も含めて、支援の内容を詰めてもらいたい。千曲市は旧更埴庁舎跡地を管轄する資産管理の部署、財務、教育委員会など各部横断的にわたるとりまとめ役は総合政策課が担当している。小川市長のもと市民にも農学部開設を歓迎する環境・雰囲気を盛り上げていってほしいものだ。

(本紙特任記者・中澤幸彦)

清泉女学院大学インスタグラムより

清泉大学農学部建設予定地とされる更埴庁舎跡地

(左奥の旧保健センターは現在更埴消防署の庁舎)