千曲市と県にも支援要望 各4億円規模 政府補助金約13億円 自己資金9億円
特集1 清泉大農学部開設に総額30億円の資金必要
☆来年1月にも千曲市の旧更埴庁舎跡地に校舎建設着工

この4月から共学となった清泉大学(長野市、清泉女学院大・短大から改称)は千曲市杭瀬下に開設を計画している農学部の校舎について2026年1月中にも建設を開始する。2027年4月に農学部アグリデザイン学科(仮称)を、市有の旧更埴庁舎跡地に開校する。「地域創成」と「農芸化学」の2コースの設置を予定している。4月10日の市議会全員協議会で、大学を運営する清泉大経営企画室の担当者は現在の資金計画について、20億円以上と見込んでいた総事業費が、校舎建設にかかわる資材や人件費が高止まりしているほか什器備品などを含むと総額30億円に上ると説明した。
資金調達については昨年6月、文部科学省の「大学・高専機能強化支援事業」に選定、助成金が約12億数千万円が拠出される見込みだ。これと併せて清泉大として借り入れが中心となる自己資金は当初5億7千万円を見込んでいたが、さらに4億円弱増やして9億1千万円。それでも約8億円が不足しているため千曲市と長野県にそれぞれ4億円の支援を要望している。
☆千曲市は早急の支援策とりまとめを
長野県側からは「千曲市当局は(清泉への支援策について)県にも事前に相談してほしい。県も補正予算の編成の準備をする必要がある」(知事部局幹部)と要請している。そのうえで「(千曲市、清泉、県の間で)事前調整がスムーズにできていない」と市議会への説明と併せて、県側にも市の支援策の早急の説明を求めた。
これまでの本紙の取材や信濃毎日新聞の報道によると、千曲市内で農学部開設を広く知ってもらうために、清泉側は、今秋には「プレオープンキャンパス」を建設予定地近くの「信州の幸(めぐみ)あんずホール」で開く予定。清泉側は「(27年春に)入学を検討している高校生だけでなく、(千曲市をはじめ地域の)小、中学生やお年寄りを含めて多くの方の来場を呼びかけて、新たに開設する農学部の具体的な学校のあり方をご説明したい」とした。
農学部とともに市内で設置が検討されている「実習農場」の確保については、清泉大への支援策のとりまとめをしている市総合政策課は「遊休農地の提供者と相談を始め、市としても検討していく」との方針を示した。関係者によると、旧更埴庁舎の跡地を当面は無償で提供して、農学部の運営が軌道に乗ってきた時期に、有償に切りかえる方向で市と清泉側は調整しているという。
また昨年12月に「新学部(農学部)設置協議会」のメンバー(学部と連携していく地域の発酵系食品や流通系の会社など)が確定、初回の会合を開いた。この夏に2回目を開催する。
☆2027年4月の農学部開設までの主な日程
・25年秋に文部科学省への正式認可申請
申請の内容は、設立の趣旨、教員、カリキュラム、学生確保の見通し、地元自治体、企業との連携について明記。文科省の正式認可を受けて、政府の補助金が支給される見込み。総額13億円近いとされる。
・26年1月中にも校舎の建設着工。建設の主体は県内の大手建設会社はじめ地元建設とのジョイントの予定。
・26年夏から、学生の募集開始。推薦入試も検討。
・27年2月 農学部の入試
・同年2月頃までに校舎竣工、什器備品搬入。
・同年4月農学部開校、入学式
(本紙特任記者 中澤幸彦)