特集2 日本デルモンテ長野工場 ◆6月末に操業終了・60年の歴史に幕

特集2 日本デルモンテ長野工場 ◆6月末に操業終了・60年の歴史に幕

■跡地の譲渡先は検討中 

 トマトジュース、トマトケチャップで家庭に親しまれているデルモンテ。千曲市の国道18号線・杭瀬下交差点から北へすぐにある日本デルモンテ長野工場は、この6月末で操業を終えた。生産は1961年(昭和36年)に始まった。64年の時が過ぎた。当時を知る地元の住民の話によると、「デルモンテは後についた名前だね。当時はキッコー食品と呼んでいたよ」。キッコーマングループの一員として親しまれていた。

 9月にはその役割を完全に終える。地域の関心は、その跡地はどうなるかに集まっている。キッコーマンの関係者によると、長野工場の土地と建物、設備の所有権は親会社のキッコーマン食品が持ち、現在取引がある不動産会社が譲渡先を探しているとのこと。

 複数のところから申し込みがあるものの、現在(6月21日時点)は、譲渡先はまだ決定していないという。建物や設備の再利用については新たな所有者が決めるようだ。地元で採用された従業員数十人の大半は8月末までに次の就職先が決まる予定だ。

 5年間にわたり日本デルモンテの社長を務めた小塚太さんは6月の株主総会後に退任した。

■地元に感謝の意

 日本デルモンテは千曲市の小学校、中学校に通う児童と生徒の全員にトマトジュースとトマトケチャップをそれぞれ1本ずつ贈る予定だという。これまで地域にお世話になった感謝の気持ちとしてのプレゼントだ。7月20日頃から始まる夏休み前に、教職員にも併せて感謝の気持ちを伝える。千曲市には、地元に役立ててと百万円を寄付する。

 地元で長年にわたって操業してきた有力企業が引くのはなんとも寂しいものだ。

(本紙特任記者 中澤幸彦)

9月末で閉じる日本デルモンテ 長野工場敷地は千曲市屋代、杭瀬下などにある(2025年6月23日撮影)

日本デルモンテの「さよなら」トマトジュース缶