特集2 清泉大学農学部開校へ 千曲市は財政支援の要請のほか長野県・清泉大と「連携」して環境作りを
千曲市の小川修一市長は10月10日、長野県庁で阿部守一知事と面談して、清泉大学(長野市)による2027年4月の農学部新設に向けて、県からの財政支援を求める要望書を提出した。栗原力企画政策部長と清泉大の深澤光代理事長、田村俊輔学長、経営企画室幹部が同行した。【関連記事・第1面】
同大学が来年1月に千曲市内の旧更埴庁舎跡地に着工する予定の農学部のキャンパスについて、人件費や資材費などの高止まりを背景に、当初の想定を上回る建設や整備の費用負担は約30億円にのぼる。資金の手当ての内訳は政府の「大学・高専機能強化支援事業」対象の補助金13億円弱、清泉大の自己資金9億円、残りの8億円は行政の補助金をあてる。千曲市は9月市議会で8億円の支援を提案して可決された。
8億円の半額の4億円の支援を長野県に要望するため、小川市長は阿部知事に農学部設立の意義などを説明した。これに対して阿部知事は「基本的に前向きに検討する」としたうえで、県全体の発展につながる取り組みとなるよう県内の農業高校をはじめ食品関連企業などと幅広く「連携する」ことを同市と大学側に要請した。
本紙の取材によると、県は要望を精査した上で11月補正予算で、清泉大への4億円の財政支援を含む高等教育関連予算を編成して県議会への上程を検討しているという。
県の関係者によると、千曲市は総合的な支援策をなるべく早く提示していく必要があると指摘する。今回の財政支援のほかに以下のようなことを清泉大側と整理して対応していくように期待している。
1・旧更埴庁舎の跡地の提供は無償なのか有償なのかを検討する。
2・実験農地のほか、他の関連施設はどうするのか。
3・屋代南高校ライフデザイン科をはじめ、地元の小学校、中学校との食育や農、食の関連授業と連携について検討する。
4・発酵、醸造企業との連携の具体化もより深めていく。
5・千曲市の市民に清泉大農学部が歓迎されるような環境づくりを地域の住民、商店会連合会、千曲商工会議所、戸倉上山田商工会と検討し、具体策を提案していく。
千曲市に対して県の関係者は、対策をもう少し迅速に行うべきだと指摘する。清泉大も千曲市総合政策課と教育委員会などが「まとめ役」となり、担当が横断的になるためのプロジェクトチームを作る必要がある。また、別の関係者は「議論はなるべく公にして、小川市長が当事者として、大いにリーダーシップを発揮してほしい」とも期待している。
清泉大側は、千曲市そして長野県との連携は「本学にとっても極めて重要である」という認識を示している。
清泉大農学部の開校は再来年春、あと1年5ヶ月後だ。
(本紙特任記者・中澤幸彦)
プレオープンキャンパスで公開された農学部校舎のイメージパース(CG)デザインはまだ実施設計中で仮のものだが「周辺住民に配慮して3階建てにする計画」「周囲の環境に調和したデザインにしたい」とのこと(住民説明会にて小池事務局長談)

