特集2 千曲市を「物流拠点」から「防災拠点」に大手建機レンタルも「防災」の視点から進出 物流大手も拠点開設
アクティオ長野ちくまテクノパーク統括工場(仮称)

(八幡・長野ちくまテクノパーク/八幡東産業団地造成事業)
建設レンタルの最大手アクティオ(本社・東京都中央区)は千曲市八幡地区において、機械の整備拠点となる国内最大規模となる新工場「長野ちくまテクノパーク統括工場」(仮称)を建設中だ。今秋の完成を目指している。県内外で増えている地震など災害に対しての「防災拠点」としての役割も果たす。土地面積は約9万7千坪で県内の工場を統括する役割も担う。多様な機械を配備するスペースも確保して、新規顧客を増やす方針。
このほか、千曲市内には他の企業の進出も進んでいる。雨宮産業団地では半導体パッケージの基板に強い新光電気工業と、半導体製造の長野電子工業がそれぞれ新工場を稼働している。これらの動きは、千曲市全体の産業基盤強化と地域発展に大きく寄与するものと期待されている。
千曲市は上信越道と長野道の高速道路の結節点となる更埴ジャンクションを控えており、上信越道は幹線の国道18号線とともに首都圏や北陸を結ぶ交通の要衝となっている。こうした利便さを活用するために物流企業の進出も目立つ。例えば、輸送サービスの大友ロジスティクスサービスは千曲倉庫(諏訪営業所の管轄)を千曲市内川に設けた。ダイドードリンコの物流基地も市内杭瀬下の西船山通り沿いに設置された。
こうした企業進出の動きをみて、ある市民から「屋代スマートインターができるならば、その近く場所を防災拠点としたらどうか」との提案が本紙にあった。通称「屋代田んぼ」と称される広い農耕地がある。ここを「防災拠点」にしたらとのアイデアだ。大型商業施設の誘致が実現しなかったものの、そこでアイデアを出すのを止めてしまってはもったいないだろう。
政府・消防庁は「防災拠点」の役割と規模に応じて以下のような分類例を示している(以下は消防庁の資料を参考)。
・コミュニティ防災拠点…地域住民の自主防災活動や緊急避難地に活用する。町内会等の単位で設置。
・地域防災拠点…市町村等の現地活動拠点、短中期の避難地、コミュニティ防災拠点の補完機能など。おおむね小中学校区単位で設置。
・広域防災拠点…広域応援のベースキャンプや緊急物資流通の配給基地など。都道府県の管轄区域に1ないし数箇所設置。
この分類において面積や設備などの具体的な基準は示されていないが、「防災公園街区整備事業」の対象となる防災拠点の面積用件としては、地域防災拠点はおおむね10ha以上、広域防災公園はおおむね50ha以上とされている。
広域防災拠点は都道府県などの自治体の管轄区域を越えた広域に渡る応急復旧活動の展開拠点、あるいは救援物資の中継拠点となる施設である。消防庁が広域防災拠点の機能の例として挙げている項目は以下の通りだ。
災害時の機能
1―災害対策本部またはその補完機能
2―広域支援部隊等の活動要員の一時集結・ベースキャンプ機能
3―災害医療活動の支援機能
4―備蓄物資の効果的供給機能
5―救援物資の中継・分配機能
6―海外からの救援物資の受け入れ機能
平常時の機能
1―広域支援部隊等の研修・訓練機能
2―防災に関する市民等への教育・育成機能
3―防災研究開発機能
基幹的広域防災拠点は、都道府県単位では対応不可能な広域かつ甚大な災害に対して、国と地方自治体が協力して応急復旧活動を展開するための拠点となる。その整備に当たっては、広域防災拠点の機能に加えて、合同現地対策本部を設置するオペレーションルーム、中央防災無線網など多重系の防災通信施設、要員・物資輸送のためのヘリポート、救援物資の中継輸送や広域支援部隊のベースキャンプ用の広大な用地などの確保が必要となる。
千曲市としては、「広域防災拠点」を目指して、政府や県と連携できる提案内容を練ってはどうだろうか。
大友ロジスティクスサービス

(本紙特任記者 中澤幸彦)