第十回 鞍骨城 千曲市『山城』散歩

第十回 鞍骨城 千曲市『山城』散歩

千曲市倉科と長野市松代の境にある鞍骨山の山頂にある鞍骨城。松代は、武田信玄が川中島侵攻の拠点として海津城を築き、その後も上杉景勝が川中島四郡支配の拠点とし、近世には松代藩主の居城が置かれるなど、戦国後期から近世まで北信濃の社会経済上重要な地域であり続けた。鞍骨山は、松代城下町を南西から北東にかけて取り囲む山地の一部である。松代城の背後には城を取り巻くように多くの城館が分布し、川中島合戦の「啄木鳥の戦法」にからんで歴史ファンの関心を惹きつけてきた。

 抜群の視界と、海津城背後のスカイラインを占めている。1582年の織田勢敗走の直後には上杉と北条との「境目の城」となる。『景勝一代略記』(東大資料編纂所)には、同年7月の部分に、妻女山付近に陣を置いた上杉景勝が「山城守其外三十騎」を率いて「くらかけ山へ御あかり、関東勢を御覧被成」との記述がある。

 今も平石の野面積みがよく残り、「天空の城」と呼ばれるように青空に石積みがよく映える。標高798mあり、倉科の竹尾北集会所前から沢沿いの道を1時間。途中、カモシカにも遭遇することもある。豊かな自然とともに歴史を追体験できる山城だ。

<参考文献>「長野の山城ベスト50を歩く」河西克造・三島正之・中井均編、サンライズ出版、2013年