さらはにズム ちくま論説 2024年12月
▼サッカーJ3が閉幕した。今季、Jリーグでは初めてJ3からJFLへの降格ルールを決定。不振にあえいだ長野パルセイロはJ3の所属20クラブ中18位と首の皮一枚で何とか残留となったが、Jリーグ参入以降年々順位は降下しており、JFL降格も現実味を帯びてきた。このままでは県下からJリーグクラブが1つ消滅しかねない危機的状況だ。
▼長野県は人口的にも地域性からも県内にJクラブが2つ(長野パルセイロ・松本山雅)あって然るべき県である。しかし、北信のスポーツファンはともすれば「熱しにくく」「冷めやすい」気質。野球(信濃GS)も女子サッカー(パルセイロL)も最初は観客が多く詰めかけ、リーグ内でも上位の動員数を誇っていたが、いまや応援するのは本当に熱心なファンだけになりつつある。当時を知る者としては悲しい限りだ。パルセイロに関してもはっきり言って松本に比べて地域全体の熱量は低いと言わざるを得ない。
▼これは何もスポーツのことだけではない。かつて千曲市内にあったローカル鉄道も屋代線の廃線でしなの鉄道だけになってしまった。そしていま高校再編で屋代南高校が3校の統合による総合技術新校になることで、市内に県立高校が2校存続出来るのか不安視されている。「関係ない」「興味がない」という人もいるかもしれない。だが、大切なものは無くして初めてその価値がわかる。そして失ってからでは遅いのだ。地域の宝を維持・発展させるために関心を持ち続け、我々に出来ることは何なのか考えたいところである。(W・S)