コラム 漢字と花 春 金縷梅・満作

コラム 漢字と花 春 金縷梅・満作

【新連載】今月号より漢字と花にまつわる成り立ちについてご紹介する新コラムがスタートします。

 春の暖かい日射とともに青空を見上げると、もの愁いさを感じる今日この頃です。

 春の言葉は、田畑を耕す「墾(は)る」、冬の重苦しい空が春になって明るく「晴る」、また樹木や草が芽吹く「張」等々が語源だと言われています。

 「故郷(ふるさと)や どちらを見ても 山笑ふ」は、正岡子規の句です。山笑ふは、宋の儒學者・呂祖謙の臥遊録に「春山は淡冶(たんや)にして笑うが如し」の語を基にして、春の季語となっています。笑うは、蕾が張らんで花開く、即ち「咲く」です。笑うと咲くは同義語となります。美しい人が微笑む感じです。そうすると春の景色のうっすらと艶く感じが瞼に浮かんでくると思いませんか。

 雪解けとともに咲くのは金縷梅の花。語源は山中で最初に咲くことから「まず咲く」と、一説には、農家では山中のこの花が、枝に零れるばかりの姿から「豊年満作」を祈願したと。このことから満作の漢字を当てたとも言われます。(山田信彰)

マンサクの花