石黒靖彦 cafe自転車屋 マスター 屋代出身
原住民アボリジニーの言葉で“木の無い“という意味のナラボー平原。まっすぐな一本道では地平線から徐々に近づいて来る対向車にいち早く気づく事が出来、お互いに止まって進む先の情報交換をする事がよくあった。たいてい相手は車かバイクで、ほとんどの相手は口を揃えてどこまでも同じ景色が続き、何もいなくて退屈だったと言うのだった。
しかし、自分が見てきた景色は全くの逆だった。木の無い平原で言う木とは葉っぱの繁る高木のことで、背の低い灌木はそこかしこに生えている。そしてその灌木の作る小さな木陰には強い陽射しを避けたカンガルー達があちこちに横たわっており、そんな豊かな野生動物を堪能していたからだ。
それは自分が太陽に向かって走っていたと言うこともあったが、車やバイクとは違いゆっくり走る自転車ならではのご褒美だったのかもしれない。そんなある日、地平線の近くをゆっくり移動する大きな動物の群れを目にした時はちょっと驚いた。
遠くに見える大きな体と長い首を見て最初に受けた印象は太古の草食恐竜。しかし目を凝らすと体の下に細い脚が見え、そこで初めてそれがラクダだとわかった。その時は知らなかったが、昔入植したイギリス人が開拓のために2 万頭のラクダを連れて来て、車や鉄道の発展で必要が無くなったラクダが野性化して今ではオーストラリアが世界一のラクダの生息地になっているそうだ。
初めて見る野生のラクダ。オーストラリアの赤い大地を、全高2m を超える大きな動物の群れが移動する風景は、ちょっと現実離れしていた。まるで映画のロケのようなその景色をカメラに収めたのだが、残念ながら現像した写真には胡麻粒ほどの点が写っているだけだった。
9月12日からチクマサイクリングクエスト5を開催するのでよろしくお願いします。開催期間は12月までです。(石黒)


