未来の千曲市の教育 生きる術を身に着ける教育を シリーズ未来への提案

未来の千曲市の教育 生きる術を身に着ける教育を シリーズ未来への提案

 「千曲市の教育の未来」。こう掲げるとどこの教育に焦点を置くかが重要だ。県下の小・、中学校の教員を主な会員とする公益社団法人・信濃教育会の幹部と最近、話す機会があった。

「高校に入って大都市の大学など上の学校を目指して、都会で就職先を探す。そうして都会に出ていった生徒は故郷になかなか帰ってこない。こうした教育をずっとしてきたから、地方に人がいなくなるのではないか」

「勉強ができる児童、生徒だけではない。体育が得意な子、料理や裁縫が好きな子、人に優しい子、ゆっくりだけれど着実になんでもやる子。いろいろな子供がいる。その長所を伸ばしてやらないと。得意なことを生かして、生きるすべを身に着けられるような教育に力を入れていきたい」

 この幹部の話をまとめるとこういうことになる。小・中学校の教育方針は現在も工夫されているようだが、今後さらに「多様化」が重視されていこう。地域に児童・生徒がとどまって成長していくことが理想だが、現実的には就職先がないといった壁にぶち当たる。しかし、そうした状況もインターネットの発達によって環境は大きく変化している。

 この変化をどうとらえて、教育の現場に反映させていくかが肝要だ。

 翻って、千曲市教育委員会は現在、「千曲市教育振興基本計画」(2019年、令和元年・平成31年度から10年計画)と個別計画である「千曲っ子教育ビジョン」を策定している。計画の後期における必要な見直しにあたり、教育長からの諮問に応じて、成果と現状、進捗状況を把握・検証する。併せて教育界を取り巻く情勢の変化や新たな課題や第三次総合計画、教育大綱との整合性を踏まえながら内容を審議し、答申を行う。11月中にも素案を固めて、パブリックコメントを踏まえて年明けにも基本計画をまとめる予定という。素案の内容が注視される。

(次回も教育について)

ちくま未来新聞特任記者・中澤幸彦