地域住民の足・長電バス 屋代駅-須坂駅間が減便へ 中高校生の通学と高齢者の通院は

地域住民の足・長電バス 屋代駅-須坂駅間が減便へ 中高校生の通学と高齢者の通院は

利用者数は横ばい傾向

 屋代駅と須坂駅間を運行する長電バス屋代須坂線は、令和6年度中のダイヤ改正で減便が計画されている。2月20日、屋代公民館で千曲市総合政策課と長電バス株式会社による地域住民に向けた説明会が開かれ、長電バスの担当者が背景と内容について説明した。

 屋代須坂線は長野電鉄屋代線の廃止に伴い、平成24年度より代替バスが運行を開始したもの。運行事業者は長電バスのほか一部をシンリク観光が担当している。現在屋代駅から松代を経由して須坂駅に向かう便は1日19便。須坂駅から屋代駅への便は17便が運行中だ。長電バスによればコロナ禍の影響で利用者は約25%減り現在は横ばい。未だコロナ前の水準に回復していない。加えてガソリン代などの高騰や人件費上昇が経営を圧迫している状況にある。「物流・運送の2024年問題」を受けた運転手不足の問題も深刻で、長電バスは「長野営業所では必要人員に対し24%強が不足している」と明かした。

主な利用者は中高校生

 この路線は屋代南高校、屋代高校、松代高校の3校に停車するため、利用客の7割を中高校生が占めている。松代地区では高校生のほか、中学生の利用も多い。さらに松代総合病院に通う高齢者にとっては無くてはならない交通機関となっている。説明会に訪れた高齢女性からは「運転免許も返納してしまい頼れる家族もいない。東部地区の人間にとっては長電バスだけが頼り」と悲痛な訴えも聞かれた。市側からはデマンド型乗合タクシーの利用促進を進めていきたいとの発言があった。

新ダイヤの運行は8月予定

 今回のダイヤ改正で1日3便ある土口経由の減便は検討していないとのこと。一方、すでに今年の1月21日より日曜日は全便が運休している。長電バスでは今回の千曲市での説明会を皮切りに長野市、須坂市でも説明会を実施し、住民の意見を踏まえたうえで令和6年度のダイヤ改正を決定する方針。

 帝国データバンクの全国「主要路線バス」運行状況調査によると2023年以降に路線の減便、廃止を検討しているのは103社と81.1%に上る。急速な人口減少と高齢化のなか生活の足の確保は喫緊の課題となっている。

住民説明会(2月20日・屋代公民館)

須坂・松代方面のバスが発着する

屋代駅バス停留場

屋代高生や付属中学の生徒が利用する屋代高校前バス停