さらはにズム ちくま論説 2024/03

さらはにズム ちくま論説

 今年入学の小学一年生は推定で90数万人だそうだ。入学式には7冊の真新しい教科書が無償給付される。こくご、しょしゃ、さんすう、せいかつ、おんがく、ずがこうさく、どうとく。小中学の教科書は55年前から無償給付され、おおむね4年毎に改訂されているが、今年度は小学生の教科書がその改訂の年。改訂は小中学校学習指導要領の改訂に則してなされる

▼明治5年の学制広布により近代の学校制度が確立され、学校で教科書が使用されるようになった。明治19年の小学校令により小学校は尋常小学校と高等小学校になってから、教科書は自由採用から検定制度に。明治36年からは国定教科書制度が実施され翌年先ず小学校国語の教科書などから国定教科書となった。昭和24年使用の教科書から現在の検定制度が始まって、民間の検定済教科書が登場し、現在に至っている

▼今度の小学校の教科書は来年改訂の中学の教科書に先んじて、殆どの教科書にQRコードがふんだんに掲載されており、画像や動画、音声も生徒一人一人が自由に入手できるようになった。さらに、文部省は教科書そのもののデジタル化も進め、紙の教科書をそのままデジタルに移した「デジタル教科書」を紙の本と併用できるよう制度を変更。2024年度からは小中学校の英語と算数・数学のデジタル教科書を無償配布するという

▼ここへきて、デジタル教材の急激な普及によって学校現場も児童・生徒も変化に対応できているのだろうか!昨年、ある進学校(高校)で理科のデジタル教材を採用し、生徒に使用させたところ、デジタル教材だけでは使い勝手がわるく、紙の教材を併用して学習する生徒が多かったとのこと。

 何のためのデジタル化か?何のための教育か?