歌壇 安曇於保奈 選 26年6月

歌壇 安曇於保奈 選

【秀逸】

宇宙船オリオンが見し蒼き星自滅の前兆しかと伝え    百合

 月を周回して地球に帰還した有人宇宙船オリオン。半世紀以上前のアポロ計画以来のこと。この間、地球はどれほど変わったのか。進歩ではなく自滅への道を辿っているのではないかと作者。その前兆は宇宙船から見えたはず。ちゃんと伝えてくれと詠い、力作となった。

【佳作】

入山と退山のみに許される門開かれて貫首さま出づ    宮本律子

 第八十世永平寺貫首の南澤道人師は千曲市の龍洞院の方。2020年9月から務められ、この4月29日に退任された。お近くに住み貫首を敬してやまない作者が心からの労いを詠まれた。

【入選】

ホチキスは最後の針までしっかり打てるあっぱれ技術と品質管理                 中村邦久

母と子が手をつなぎ日々登校すこの子がいいと言うまでと母                     宮坂岩子

父買いし油圧ジャッキの油漏れ五十年目の修理となりぬ             甘利真澄

湯につかり夫は九ちゃんと声合わせ「明日があるさ」自分を励ます                 中村妙子

車内での放送響く優先席無きがごとくに時はだんまり                 湯本孝一

春雨にけぶる花房ライラック折りくれし人今は遠くに                 宮坂塘

尾崎亜美の「春の予感」を聴きながらそんな気分の「栗の羊羹」                 替佐梅蔵

寅さんがトラさん叱る夢を見る「それをやっちゃあおしまいよ、君」                 柳澤純

生まれしはフフフの日だよと言いし友今年のその日巡り来ぬとは                 伯田ちさと

 花山多佳子の『三本のやまぼふし』(2024砂小屋書房)から。

老いるとはどこかがつねに痛むこと安らぎは死と思へるまでに「家族みな破綻のリスク」あらばあれリビングに四人ババ抜きをする

【応募要領】

■官製はがきに三首まで(二重投稿は不可)
■住所・氏名・電話番号を付記 ■締め切り毎月十日 
■宛先〒387‐0012 千曲市桜堂521屋代西沢書店2階 ちくま未来新聞 歌壇係