北国街道 歴史こぼれ話(第9回) 岩鼻の険(六寸街道)

北国街道 歴史こぼれ話(第9回) 岩鼻の険(六寸街道)

 千曲川を挟み両岸に聳え立つ岸壁「岩鼻」。千曲川の本流が右岸の下塩尻岩鼻と左岸の半過岩鼻の間を流れ、国道18号を進むと急峻な岩肌が迫ってくる。北国街道では上田宿と鼠宿を分かつこの岩山を越えるため塩尻岩鼻の中腹を開削し「切通し」が作られた。これは「六寸街道」と呼ばれ、極めて厳しい難所だった。現在は殆ど痕跡が残っていない。

 元々下塩尻岩鼻と半過岩鼻は繋がっていたが千曲川の急流で削られて分離した。地質調査によって塩尻方面には湖の痕跡が確認されている(塩尻の地名は「潮尻」が語源)。その記憶を反映したとみられる伝承が遺されており、軻良根古神社の鼠退治伝説では、唐猫に追い詰められた化け鼠が岩山を食い破ったため湖の水が流れ出して千曲川となったとしている。また、上田方面の民話に登場する「小泉小太郎」が岩鼻を破ったという言い伝えもある。

 下塩尻岩鼻は虚空蔵山(標高1076m)の北端に位置し、尾根には戦国期に虚空蔵山城や和合城など数々の山城が築かれた。また本州ではここにしか群生していないモイワナズナなど貴重な自然が存在し、下塩尻及び南条の岩鼻は県指定の天然記念物に指定されている。(続く)

岩鼻の険(下塩尻岩鼻)