歌壇 安曇於保奈 選

【秀逸】 沖縄の人が口にする「肝苦りさ」痛み悲しみともに担うと 百合  

沖縄戦における犠牲者は、12万人を超え県民の4分の1が亡くなった。沖縄の人々がお互いの苦しみや痛み、悲しみをともに担っていこうという気持ちが「肝苦りさ」なのであろうと作者。

【佳作】 AIのシンギュラリティ刻々とホモサピエンス負けるものかは 柳澤 純  

シンギュラリティ(singularity)は、AIが人間の知能を超えてしまう技術的特異点のこと。すぐそこかもしれないという現在、ホモサピエンス(賢い人間)たるわたしたちは、そんなものに負けるわけがない、と作者。AIに歌の「製造」はできても、「詠む」ことはできるのか。

【入選】 桃色の蓮の花咲く国分寺我が煩悩を清らかならしむ 中村邦久

コロナ禍の面会果てて出でし吾を呼び続けしが最期なりけり 宮坂 塘

蟻の穴じっと見つめて孫が言う「絵本のアリはここにはいないね」 中村妙子

過酷なるナウルの日々を耐え抜きし義父の皺手は菓子箱さぐる 伯田ちさと

あしひきの浅間の山に雲かかり遠き雷鳴小諸に聞こゆ 甘利真澄

核兵器絶対悪と全身で長崎市長は平和宣言 宮坂岩子

送り盆涼しいうちに墓参り牛に乗らずは一寸咎める 宮本律子

植え付けをじっと眺めて口開く隣の翁は生きるを伝える 湯本孝一

二重橋公園前のベンチにて想いは巡る横に居しひと 替佐梅蔵  

奥村晃作の歌集『天啓』(2025年短歌研究社)から。 枳殻はなぜあのように全身に鋭いトゲを持つのでしょうか

【応募要領】

■官製はがきに三首まで(二重投稿は不可)
■住所・氏名・電話番号を付記 ■締め切り毎月十日 
■宛先〒387‐0012 千曲市桜堂521屋代西沢書店2階 ちくま未来新聞 歌壇係