ちくま論説 さらはにズム
▼杏の花のまっさかり。ちるはなの。空ゆく風の唄。飯縄颪の先っぽ。
流れくる水の光。千曲の雪どけ水に。跳ねくりまわるは獅子かや。地団駄踏み。
踊りくるうは鬼かや。人とも知れず。花鎮めるは神かや。まぼろしは白く。
信濃の国に春告げる祭り。春や春とて。雨の宮のごじんじ。雨ふりゃめっちゃくちゃ。
▼この詩は今から18年前、雨宮御神事(国の重要無形文化財)が行われた年に発行された「絵本・雨の宮のごじんじ」に載っている、森獏郎さんの作です。その3年後の2011年東北に3・11の大地震が発生、その年の雨宮御神事は中止となった。3年に一度の御神事の準備や踊りの稽古を進めてきた雨宮地区と保存会の皆さんにとっては残念。おそらく御神事が行われなかったのは太平洋戦争時のみで戦後は初めてだった
▼国重要無形文化財に指定されている文化財も急激な社会の変化によって、ただ長い間伝えられた「伝統」を守れと云うだけでは「村社会」の基盤が失われてゆく中で保存も伝承も不可能だ。今は3年に一度の祭りになってしまったが、50年前までは毎年行われていたのだ。
▼絵本を出した3年後、森さんは「郷土を知る会」発行の雑誌「ちょうま」32号に雨宮御神事の調査研究を地域住民と市民に、祭りの意義を発見し共有すべきだと呼びかけた。2016年3月に市の教育委員会より「雨宮坐日吉神社御神事民俗文化財調査報告書」が発行された。
▼今月29日(昭和の日)、3年に1度の「雨宮の御神事」が行われる。お祭りのクライマックスは次のように絵本が語り終わります。
日も暮れてきやしたな。千曲の川っ風も 冷や冷や吹きだしたに。いよいよ橋掛りだし。斎場橋の上から四頭の獅子が 川ん中に逆さづりになって踊るだに。
獅子頭を流れに突っ込んで 水しぶきあげて 振り踊るだし。獅子のタテガミが
千曲川を流れ信濃川を流れて 越後の海に流れつくころにゃ
雨宮では田植えがはじまるだし。

